晴耕雨読
晴耕 2020.07.18
住宅の性能vol.4【住まいの断熱】後編
みなさま、こんにちは。
菊川市・掛川市を中心に、設計デザイン+施工をご提供する内海建設です。
先月、「住まいの断熱性がなぜ重要なのか」についてご説明しましたが、今回はその続編です。
(前回の内容はコチラをご覧ください。)
前回お話ししたように、なぜ断熱性を高めなければならないかというと、その理由は主に「数値的な理由」と「感覚的な理由」の2つに分かれます。
「数値的な理由」については前回ご説明したので、今回は「感覚的な理由」についてご説明します。
■人が感じる快適さ
「感覚的な理由」とは、ズバリ「快適性」のことです。
住まいにおける「快適さ」とは、どんな環境のことでしょうか。
それは、『ストレスが少ない状態』のことです。
住まいに対して感じるストレスには、広さ・狭さ、騒音・振動、動線、景観など、さまざまな原因がありますが、なかでも『暑さ・寒さ』といった温熱環境に関わるストレスはかなりの割合を占めます。
温熱環境のストレスが大きい家は、たとえ他の要素がどんなにすぐれていても、長く愛着を持って暮らすことはできません。
それはなぜかというと、誰もが皆、いずれは老い、持病を患い、若い頃のように暑さ・寒さのストレスに打ち勝つ力を持ち合わせなくなるからです。
明るい人生だけに対応できる家ではなく、人が孤独や絶望にさいなまれて暗い気持ちで過ごすときこそ優しく、温かく包み込んでくれる家こそが、本来の住まいのあるべき姿だと思います。
■高断熱・高気密で健康な体に!
昔の木造の家は「夏」を中心に考えて造られていたため、断熱性や気密性はおかまいなしでした。冬になると隙間風が吹き、それは寒かったものです。
寒さ対策としてコタツにあたったり、ストーブを付けたりして暖をとるのが一般的でした。
しかし、今では人が生涯に渡って快適に暮らせるように、断熱性が向上し、夏は涼しく冬は暖かい暮らしを実現できるようになりました。
では、住まいの断熱性・気密性が向上すると、どのような効果があるのでしょうか。
まず、最も大きな効果は、『体がラクになる』ことです。
実際に数々の実験データによって、高気密・高断熱が冷え性や猫背、腰痛が治るなど、健康に大きく貢献することが証明されています。
■高断熱・高気密で感性も豊かに!
また、家全体の室温が一定に保たれるため、家の中の移動が億劫でなくなり、行動が活発になります。同時に、四季を通じて家中の空間の稼働率が上がり、面積が小さい家でも広く使えるようになります。もちろん、ヒートショックや結露、カビの心配もなくなります。
さらに、高気密・高断熱は、間取りのプラン自体にも影響をもたらします。
これまでは冷暖房効率を考えて部屋を仕切らなければならなかったところでも、高気密・高断熱によって仕切る必要がなくなったり、大きな吹抜けを設けることができたり、北側にリビングや寝室を配置できたりと、プランの自由度が大きくなります。
各部屋に1台設置し、一家に4~5台必要だったエアコンも半分以下に減らせます。
結果的に光熱費を節約でき、省エネに大きく貢献します。
そして意外なことに、より自然を身近に感じられるようにもなり、感性豊かな暮らしを楽しめるようにもなるのです。
たとえば、寒さの中にいると雪を見ても美しいとは感じませんが、暖かい部屋の窓から見る雪は何とも美しいものだと感じるでしょう。
このように、人の感覚的にみても、高気密・高断熱がいかに有効かわかります。
当社では既存住宅の断熱リフォームも承ります。断熱性能に関する心配事やご相談は、内海建設にお気軽にお問い合わせください。
さて次回は、当社が断熱性能を高めると同時に取り組んでいるパッシブデザインについてお話しします。
文:代表取締役 内海 明