晴耕雨読

晴耕 2020.06.13

住宅の性能vol.3【住まいの断熱】前編

みなさま、こんにちは!
今回から、住まいの『断熱性』について、わかりやすく3回にわけてお話しします。

■なぜ断熱が必要なのか
最近は新築の際に住まいの断熱性を気にされるお客さまが増えましたが、昭和の時代には住まい手はもちろんのこと、作り手すらも断熱性に対する意識がかなり低かったように思います。もちろん、寒さや暑さに対する不満は昔から誰しも感じていましたが、それが当たり前のような風潮でした。断熱の必要性を啓蒙する機関も存在はしたものの、巷にはまったく届いていなかったように思います。しかし、地球の温暖化が問題視され、諸外国の家に比べて日本の家は断熱性能がかなり低いということなどが知れ渡ると同時に、断熱の必要性が注目されるようになりました。
では、なぜ断熱性を高めなければならないかというと、その理由は主に「数値的な理由」と「感覚的な理由」の2つにわかれます。

第1回目の今回は、「数値的な理由」について詳しくご説明します。

【環境への負荷と家計への負荷】
「数値的な理由」とは、具体的には「エネルギーの垂れ流しによる環境への負荷と、家計への負荷を低減する」ことにあります。
皆さんも既にご存知かと思いますが、断熱性能を比較する指標として「断熱等級」があります。
断熱等級による性能の違いは、下記の図のようになります。

つまり、断熱等級が2から3へランクアップすると、年間の冷暖房負荷を等級2の3/4程度に抑えることができ、4へランクアップすると、等級2の1/2程度に抑えることができます。つまり、その分省エネルギーを実現できるという訳です。
住宅の断熱性能の違いによって、上記のような冷暖房負荷だけでなく、新築時の全体のコストやメリットにも大きな差が生じます。
家を新築する際にはフラット35Sなどを利用し、35年の長期固定金利でローンを組む場合が多いかと思います。
そこで、フラットS35を利用して、建築基準法レベルの住宅(断熱等級2)からZEH(断熱等級4)に至る住宅を建てた場合の、各種の補助金や税金、光熱費などの比較数値を下記に挙げてみました。
ちょっと複雑な表ですが、後でポイントを解説しますので、まずはご覧ください。

上記の表で注目したい点は、「断熱性能が高い家ほど、35年間に渡るトータルコストが安くて済む」ということです。
たとえば、①建築基準法レベルで断熱等級が2の住宅と、②長期優良住宅で断熱等級が4の住宅を比較すると、性能アップによる建設費の増額分は②が約120万円プラスになりますが、住宅ローンの金利を含めた総支払額は①の方が78.5万円高くなります。
さらに、光熱費の年額は、①が4.7万円なのに対し、②は3.1万円。
①と②では35年間で約56万円の光熱費の差が生じ、断熱等級が高いほど光熱費を節約できることがわかります。その他、次世代住宅ポイントやすまい給付金などのポイントの有無、税金などを差し引きすると、総額で、①よりも②の方が約55.4万円お得になります。
つまり、初期費用は高くつくようでも、35年間のランニングコスト等を比較すると、断熱性能をはじめとする全般的な性能が高い家の方が結果的には金額的にお得になり、家計や環境への負荷も軽減できることになります。しかも、35年間に渡って快適に過ごせるという訳ですから、さらにメリットが大きいことになります。
このような理由から、『内海建設』では、断熱等級4の家づくりを推奨しています。

さて次回は、断熱性能を高めなければならないもう1つの理由、「感覚的な理由」についてご説明します。どうぞお楽しみに!
また、当社では既存住宅の断熱リフォームも承ります。断熱性能に関する心配事やご相談は、内海建設にお気軽にお問い合わせください。

文:代表取締役 内海 明

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