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岡田 晴耕 2024.03.28

お茶室リフォームと空き部屋の有効利用

みなさまこんにちは。LIXILリフォームショップ内海建設の店長・岡田です。
内海建設では、これまでに茶道の師範の先生などからご依頼を受け、居室を本格的なお茶室に改装するリフォームを何度か手がけてきました。
お茶室リフォームは専門的な知識や高度な職人技術が必要となるため、設計施工を手がける会社は少ないと聞いています。
そこで今回は、お茶室の基礎知識と、当社が手がけたお茶室のリフォーム事例をご紹介します。


【お茶室の基礎知識】
お茶室には、躙り口(にじりぐち)や、水屋(みずや)、待合(まちあい)など、専門用語がたくさんあって、茶道の世界をあまり知らない方にはとっつきにくいかもしれませんね。
そこで、まずは簡単にお茶室の基礎知識をご紹介します。

●茶室とは
茶室とは、茶道を楽しむための空間であり、茶道の精神世界を体現する建築物です。静寂と簡素さを重視し、茶道の作法にのっとった独特のしつらえが求められます。また、表千家や裏千家、宗徧流など、流派によってお茶室の決まり事が異なるため、各流派の規範に則した仕様でつくる必要があります。

・茶室の広さと形式
お茶室の広さは、四畳半、三畳台目、八畳など、茶道の流派や用途に合わせて形式が決まっています。

・空間構成
床の間、炉、躙り口、水屋、待合など、茶室の各要素を適切に配置します。

・材料・仕様
塗り壁や無垢材、銘木など、伝統的な材料と技法を用いることで、茶室の雰囲気を再現します。

●茶室の主要な要素
・床柱
茶室の中心となる柱で、床の間の正面に設置されます。茶室の格式を象徴する重要な要素です。

・天井
茶室の雰囲気を左右する重要な要素です。最も一般的なのは、竿縁天井と化粧天井です。

・炉
茶室の中央に設けられた、炭火を焚くための設備です。現代のお茶室には、電気炉や置き型の火鉢(風炉)、ガス炉などがよく利用されています。炉は茶を沸かすだけでなく、茶室を暖め、茶会に温かみを与える役割も担っています。

・躙り口
茶室に入るための小さな入り口です。戦国時代は、刀を常に携帯するのが当たり前でした。狭い躙り口は、刀を持った人が茶室に入りにくくする防犯上の意味もありました。
また、茶室に入る前に頭を下げ、身分を捨てて平等になるという謙虚さや緊張感を促し、狭い躙り口から入ることで空間を広く見せる効果なども意図されています。

・水屋
茶道具を準備するための空間です。茶室の近くに設置されます。

・待合
茶会前に客が待機する空間です。茶室の雰囲気に調和した、落ち着いた空間であることが求められます。

その他
茶室の照明は、自然光とわずかな灯りによって落ち着いた雰囲気を演出します。また、茶室は、静寂の中で茶道の精神性を味わう空間のため、外部の音を遮断する工夫が必要です。


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【内海建設のお茶室リフォーム事例】

それでは、当社がお茶室リフォームを手がけた事例を2例ご紹介します。
茶道を通じて、お施主様からお施主様へと紹介の輪がつながりました。

<施工事例1:磐田市O様邸>


●リフォームのきっかけ
奥様が宗徧流の茶道の師範をされているため、もともと客間でお茶を立てられるようになっていましたが、待合と躙り口、水屋といった空間までしっかりと備えた本格的な和室をつくりたいとのご要望で、当社にご相談いただきました。
それ以前に、他社でも見積もりを出してもらったそうですが、特殊な工事なだけに費用がかさみ、予算面で折り合いがつかなかったとのこと。そこで、当社と打合せをしながら内容を検討し、お見積りをご提示したところ、内容・金額共にご納得いただき、工事をご依頼くださいました。


●設計・施工で心がけたこと
お茶室の設計にあたっては、それぞれの空間の配置や仕様、素材をどのようにしなければならないのかを検討するところからスタートしました。たとえば床柱一つをとっても、お施主様の好みや決まり事があるため慎重に検討し、お施主様を銘木屋さんにご案内して実際の材を見ていただいたりもしました。
また、設計担当が、千利休の茶室を代表する国宝・待庵(京都府乙訓郡山崎町)を実際に訪ね、茶室建築を目で見て学んだりもしました。


●工事の内容
もともと和室だったスペースを改修し、4畳半の茶室と、水屋を設け、お茶室の躙り口を出た場所に待合を設置。また、キッチンスペースも同時にリフォームしました。


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<施工事例2:掛川市O様邸>


●リフォームのきっかけ
磐田市のO様のご紹介で、O様の茶道教室に通われていたお弟子さんのご自宅のお茶室リフォームを手がけました。

●工事の内容
住宅全体の改修を兼ね、和室を改修して茶室を設けました。茶室は4畳半で、躙り口や水屋に加え、「控えの間」も設けられています。
「控えの間」とは、お茶会に参加するお客様が茶室に入る前に待機する部屋です。着物を整えたり、お懐紙や扇子などの茶道具を用意したりするほか、お茶会の前にお客様同士でお茶菓子を食べながら会話を楽しむ場所として使われます。


O様邸では、控えの間で立礼が行えるように広いスペースを確保しました。
※立礼とは、畳の茶室よりも簡略化した形式で、明治時代に外国人客のために考案されました。椅子とテーブルを使い、お点前も椅子に座って行います。


水屋も立って支度をするしつらえが採用されています。

【空き部屋をお茶室や趣味の空間に有効利用】
このように、2件のお茶室リフォーム事例をご紹介しましたが、現在もお施主様に新たなお客様をご紹介いただき、浜松市内のお宅でお茶室リフォーム計画が進んでいます。
前述のように、リフォームでも新築でも、お茶室を設けるには、専門的な知識や技術が必要とされます。当社では、これまでの施工経験によって得た知識や技術を生かして、どんな流派のお茶室も設計・施工を承ります。どうぞお気軽にご相談ください。

また、子どもが巣立ってご夫婦二人暮らしになると、使わない部屋が増えてくるもの。
2階の子ども部屋が丸々空いているというお宅も多いと聞きますし、生活スタイルの変化によって、和室も開かずの間になりがちです。
そこで、空き部屋をお茶室や、趣味の空間にリフォームして有効利用しませんか。
ちょっと手をかけて模様替えするだけでも、お部屋が新たな役割を持つ空間として、生き生きとよみがえります。

LIXILリフォームショップ内海建設では、「空き部屋をどう使ったらいいか」という利用方法のご相談から承りますので、ぜひお気軽にご相談ください。

文:LIXILリフォームショップ内海建設 店長 岡田

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