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岡田 晴耕 2024.03.15

来年度で耐震補強の補助金が終了!事例とともに考える耐震リフォーム

みなさまこんにちは。LIXILリフォームショップ内海建設の店長・岡田です。
2024年の元旦に発生した能登半島地震。石川県珠洲市内では、家屋の半数にあたる約3,000棟が全壊するなど、多くの建物に大きな被害が生じています。
被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

今回の地震で建物がこれだけ甚大な被害を受けたのは、
①木造住宅が苦手とする周期の長い揺れが大きく・長く続いたこと、
②同地域に古い木造住宅が多かったことの2つが主な原因だといわれています。


つまり、もしも大地震に耐え得る耐震性を備えた「新耐震基準」の家屋が多かったとしたら、ここまで甚大な被害は生じなかったかもしれないのです。


木造住宅の耐震基準の変遷】

木造住宅の耐震基準は、これまでに1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)の2回にわたって見直されています。2000年の見直しは、1995年に発生した阪神淡路大震災がきっかけで行われたものです。

1981年以前の旧耐震基準の建物は、筋交いや合板が少なくて地震の横揺れに対抗できず、屋根が重たいため、地震によって倒壊や半壊などの被害を受ける可能性があります。

1981年から2000年の新耐震基準の建物は、筋交いや合板は多くなりましたが、建物によっては筋交いの配置にかたよりがあるなどの理由から、揺れに対するバランスが悪い可能性があります。

そして2000年以降の現行の耐震基準の建物は、筋交いや合板がバランスよく設置され、柱や梁、筋交いの接合部分は金物などで固定されているため、それまでの基準の建物も耐震性が高まりました。現在、耐震性の判断基準として使われている「耐震等級」も、同じ年の2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められました。

【静岡県の耐震補強工事補助金制度「TOUKAI 0」とは】

このように、家を建てた当時の耐震基準によって、建物の地震に対する強さが大きく異なります。そこで静岡県では、想定される東海地震による被害を減らすため、「TOUKAI 0」プロジェクトを立ち上げ、これまで木造住宅の耐震診断や耐震補強工事への補助金制度を推進してきました。


「TOUKAI 0」プロジェクトを利用すると、耐震診断は無料、耐震補強工事には補助金を100万円〜(高齢者のみの世帯等は120万円〜)受けられます。また、固定資産税の税額の2分の1が1年間減額されます(令和6年3月まで)

しかし、ある程度耐震補強工事も実施されたことから、補助金制度は令和6年度、つまり来年度いっぱいで終了します。住まいの耐震に不安のある方は、補助金制度の期間内に耐震リフォームを行うことをおすすめします。

「TOUKAI 0」についての詳細は、静岡県の公式ホームページをご参照ください。
https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/kenchiku/taishinka/1041569/1041773/index.html

【事例をもとに学ぶ「耐震補強工事」】

とはいっても、「家の耐震性には不安があるけれど、一体どうすればいいのかわからない」という方も多いかと思います。そこで、当社で耐震補強工事を行ったお宅の事例をご紹介しながら、耐震リフォームの流れをご説明します。


【耐震補強工事・1階リノベーション施工事例 菊川市 Y様邸】

耐震基準の変わり目の昭和55年頃に当社で家を建てられたY様。Y様のお宅は、以前浴室と脱衣室のリフォームをさせていただきましたが、住まいの老朽化に伴って耐震性も不安になり、まずは当社に耐震診断をしたいとのご相談がありました。

Y様邸は昭和56年5月以前に建てた木造住宅のため、「TOUKAI 0」の対象となり、耐震診断を無料に受けられますが、より正確・確実な診断結果が得られるのは、有料の耐震診断です。
有料の耐震診断では、新築時の図面をもとに、基礎に鉄筋が入っているか、筋交いや金物の配置やバランスはどうかといった細かい箇所まで調査します。Y様邸の場合も、有料の耐震診断を実施し、必要な耐震補強を行うことになりました。補強工事については、もちろん「TOUKAI 0」の補助金を利用することができました。


【耐震補強をきっかけに、リノベーションで住まいを一新】

耐震補強では、一般的に次のような工事を行います。
・壁の増設・・・外壁やクロスの下地に耐震壁を設置して耐震性を高める
・金具の設置・・・土台や柱などが交わる部分に耐震金具を設置して耐震性を高める
・基礎の補修・・・基礎を打ち増ししたり、ひびわれを補修して強度を上げる
・屋根の軽量化・・・瓦などの屋根をより軽い素材に替える

耐震補強工事では、壁や床をはがすことになるため、補強工事と併せて住まいのリノベーションを行うお宅が多いです。また、耐震補強工事を実施しても、工事後に住まいが快適になるわけでも、暮らしに変化が生じるわけでもないので、満足度は得にくいものです。
そこで当社では、耐震補強工事と一緒に断熱リフォームや水回り、内装リフォームをご提案し、予算内で、住まいをより快適に一新することをおすすめしています。


Y様邸の場合も、耐震補強工事と一緒に1階全体をリノベーションした結果、新築の住まいのように快適で暮らしやすい住まいに一新しました。

Y様邸のリノベーションの詳細は、ブログでも公開していますので、ぜひそちらもご参考ください。
Y様邸のリノベーションの詳細はコチラ

大地震から家族の命を守るには、住まいの耐震化を進めることが必要です。
ご自宅の耐震性に不安のある方は、まずはお気軽にご相談ください。
昭和56年5月以前に建てた木造住宅の場合は令和6年度まで補助金を利用できますので、早めに検討されると、お得に工事を行えます。
もちろん昭和56年以降に建てたお宅でも、耐震性に不安がある場合には遠慮なくご相談ください。

文:LIXILリフォームショップ内海建設 店長 岡田

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