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社長 晴耕 2023.08.04

霧ヶ峰・ニッコウキスゲの植栽活動

「夏の花」と聞いて、私が一番に頭に浮かぶのは、「ニッコウキスゲ」という高山植物です。
なぜなら、私は毎年長野県の霧ヶ峰までニッコウキスゲの植栽活動に赴いているからです。


ニッコウキスゲは、高山の草原に咲くユリ科の多年草です。
和名は「禅庭花(ゼンテイカ)」といい、栃木県の日光地方に多く自生しているため、「ニッコウキスゲ」と呼ばれるようになりました。

朝咲いて、夕方にはしぼんでしまう「一日花」で、花期は6月下旬~8月、夏の暑い時期に見頃を迎えます。群生して咲く花で、次々と別の株から花が咲いていきます。


霧ヶ峰はニッコウキスゲの群生地として知られ、昔は開花のシーズンを迎えると山一帯が山吹色に染まったといわれています。しかし、この花は鹿の大好物のため、食害が深刻化し、花が年々衰退していってしまいました。そのため、地元の小和田牧野農業協同組合(諏訪市)では、2007年から在来植物を再生する事業の一環として、植栽活動を始めたそうです。

当初は種を直に蒔いていたのですが、牧草地で根付きにくかったため、高山植物の権威である静岡大学の増澤武弘客員教授のアドバイスを受け、苗を育てて植える方法に切り替えました。

増澤武弘教授は長野県のご出身で、富士山の世界遺産の登録や、南アルプスのエコパーク開設にも尽力され、それ以外にも静岡大学の学生たちを主なメンバーとする「NPO静岡自然研究会」を主宰されています。私も縁あって増澤教授と知り合い、「NPO静岡自然研究会」が実施している植栽のお手伝いをさせていただくようになりました。


初めて参加したのは2015年。コロナ期には中断されましたが、毎年参加し続けて来ました。
今年は7月9日に植栽活動を実施。私は前の日から長野県に赴き、増澤教授のご実家に学生さんたちと宿泊させていただきました。

例年は学生さんが10人くらい参加しますが、今年はいつもより人数が少なく、学生さん2人と先生の助手の方と私と3人での参加となりました。


当日は、小和田牧野農業協同組合が音頭をとり、同市郊外の霧ケ峰蛙原にある所有地で植栽活動を実施。他の地域から取り寄せたニッコウキスゲの種を取って作った苗を、1本1本植えていきます。ひょろんとした苗ですが、これが鹿の大好物だそうです。

今年は全員で約20人が参加し、鹿よけの電気柵で覆われた花畑に100株ほどの苗を植え、高原のシンボル復活を願いました。


霧ヶ峰は、その名の通り霧が深い地域です。夜になると霧をかき分け、何十頭ものシカの群れが柵周辺に集まってくるそうです。鹿たちにとっては、それほどまでにニッコウキスゲが魅力的な存在なのでしょう。

2015年当初には、ほとんど咲いていなかったニッコウキスゲが、8年経った現在は、これだけ群生するようになりました。


静岡県民の私が、なぜ長野県まで来てこんなことをしているのかな・・・と、ときどき不思議に思うこともあるのですが(笑)、いつかこの辺り一面を山吹色にするのが私たちの目標です。

文:内海建設 内海 明

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