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社長 雨読 2025.11.07

『月とコーヒー デミタス』気まぐれ晴耕雨読ー3

こんにちは、社長の内海です。

最近、本屋さんでタイトルと本のカバーに巻かれている帯のキャッチコピーに惹かれて購入した本がこれ、 短編集 『月とコーヒー デミタス』(著:吉田篤弘/刊:徳間書店) です。



その帯に書かれている、

『今夜は、少し遠いところへ出かけてみませんか。』
~小箱の中にしまってあった、とっておきのお話、24ピース~

とあるように、2019年刊行の短編集『月とコーヒー』の第2集にあたる24篇の掌編を収めた本です。

「デミタス」という副題のとおり、小さなカップに注がれた濃いコーヒーのように、短くとも深く、余白を残す物語が集まっていました。

ひとつひとつの話は、原稿用紙にして10枚ほど。

ほんの数分で読み切れる長さなのに、不思議と心に残る余韻があります。

「火星が最も地球に近づいた夜の小さな奇跡」や、「駄目なロボットが奏でる美しいオーケストラ」など、日常の中にちょっとした魔法が差し込むような物語ばかりです。



『印象と推しどころ』

1.「なくてはならないものではない」けれど「日常を繰り返すためになくてはならないもの」

あとがきに語られている言葉ですが、作者は「月とコーヒー」がそのような存在だとしています。
読む側としても、日々の必需品というわけではないけれど、
「あったら嬉しい」「持っていたい」物語になり得ることを感じます。

2.余白を残した終わり方

多くの短編が「その続きを少し想像させる」終わり方をしており、読後すぐに物語が消えず、自分の中に漂い続けるのが魅力です。

3.優しさとわずかな奇妙さのバランス

“喫茶店で出てくるケーキ” “空から落ちてきた男” “駄目なロボットのオーケストラ”などの設定が、
現実とも夢ともつかない“ちょっとズレた”世界を構築し、それがふんわりと安心感になるのがこの短編集らしさです。

 

“すぐに次が読みたくなる”というより、“しばらく余韻を楽しみたい”というタイプの本です。
だからこそ、1篇ずつゆっくり味わう読書体験が似合います。

短編集なので、まとまった時間が取れない時、あるいは「寝る前にひとつだけ物語を」と思った時にぴったり。
忙しい合間のひとときにも寄り添ってくれる感じです。

そうそう、「1125」という篇も印象に残りました。
家族と時間を共有することの儚さと、変化の中で“つながっている”という実感。
それが静かに胸に残ります。

もう暦のうえでは立冬に入っていますね。

長くなってきた夜のひとときに読書を楽しみたい時には、この本をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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