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岡田 晴耕 2025.05.09

『断熱材選び』に迷われている方、必見!
断熱材について詳しく解説します!

連休が過ぎ、これから初夏のシーズンに入ります。

今はまだ肌寒さを感じることもありますが、今年の夏も猛暑が予想され、

エアコンに頼る日々が続きそうです。

室内の冷房効果を高めるには、冬場の暖房と同様に、住まいの断熱性能を高めることが第一です。そのため、最近は「断熱リフォーム」を行うご家庭が増えています。

そこで今回は、先日当社のブログでご紹介した「豊広断熱株式会社」の井口さんから伺ったお話を参考に、断熱材について詳しく解説! 断熱材選びに迷われている方、リフォームをご検討中の方に役立つ情報をお届けします。

井口さんのスタッフ紹介ブログもぜひご参考ください。→こちらです。


断熱材の種類と特徴


はじめに、「断熱材」とは、家の外と中との熱の出入りを防ぐ材料のことです。建物の壁や天井、床などに使用され、冬の寒さ対策や夏の暑さ対策に役立ちます。

断熱材には様々な種類があり、それぞれに特徴や長所があります。

住まいの断熱性能を考える際は、これらの特性を理解した上で最適な選択をすることが大切です。ここでは、最近注目されている2つの主な断熱材の特徴について解説します。


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【発泡ウレタンフォームの特徴】



発泡ウレタンは現場で吹き付ける断熱材の代表格です。最大の魅力は施工方法と性能のバランスにあります。また、特徴としては次のような内容が挙げられます。

・現場発泡の仕組み

発泡ウレタンは、2種類の液体原料を現場で混合し、化学反応によって約100倍に発泡します。この特性により、壁や天井の細かい部分まで隙間なく充填することができます。

・優れた気密性

隙間を埋める特性から、断熱材としての役割だけでなく、気密性も同時に確保できます。魔法瓶のように家の中の熱を逃がさないためのベースを作るのが断熱材の役割ですが、発泡ウレタンはその点で高い効果を発揮します。

・迅速な施工

吹き付けから約10秒で硬化するため、工期が短縮できます。一般的な住宅であれば、1日で施工が完了することも珍しくありません。

・安定した品質

専門業者による施工で、均一な品質が確保できます。職人の技術に左右される部分が少なく、安定した性能を期待できます。


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【セルロースファイバーの特徴】


自然素材を好む方に人気のセルロースファイバーは、環境への配慮と機能性を両立した断熱材です。再生材料を使った環境に優しい選択肢として注目されています。


・環境にやさしい原材料

セルロースファイバーは新聞紙など再生紙を主原料としており、資源の有効活用に貢献しています。ホウ酸などの添加物を混ぜることで、性能を高めています。

・優れた防火・防虫性


ホウ酸の添加により、防火性と防虫効果が生まれます。万が一の火災時にも燃え広がりにくく、虫が寄り付きにくいという安全面での利点があります。

・環境負荷の少なさ

自然由来の素材を使用しているため、化学系断熱材と比較して環境負荷が少ないのが特徴です。環境に配慮した住まいづくりを重視する方、特に女性の方に選ばれる傾向があります。

・卓越した防音性能

高密度に施工することで優れた防音効果を発揮します。防音室や音楽室など、特殊な用途の部屋にも適しています。一般住宅でも、静かな環境を求める方には魅力的な選択肢となります。

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グラスウールの特徴】


一般的に広く使われているグラスウールは、長年にわたって住宅断熱の定番として親しまれてきました。コストと性能のバランスが取れた選択肢として、多くの住宅で採用されています。

・密度と性能の関係

グラスウールは10K、16K、24Kなど密度によって断熱性能が変わります。一般的には16Kが標準として使用されることが多いですが、より高い断熱性能を求める場合は高密度のものを選ぶことで効果が向上します。

・コストパフォーマンス

比較的安価なため、予算を抑えたい場合に選ばれます。初期投資を抑えつつ、一定の断熱効果を得たい方にとっては合理的な選択肢です。

・施工時の留意点

グラスウール単体では気密性を確保できないため、別途気密シートの施工が必要です。施工の精度によって効果に差が出るため、専門業者の技術力が重要になります。


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⭐︎断熱材選びのポイント

断熱材を選ぶ際には、単純な「性能の良さ」だけでなく、様々な観点から検討することが大切です。ここでは、断熱材選びで押さえておきたい重要なポイントについて解説します。

・熱伝導率と容積比熱

断熱材の性能を考える上で、熱伝導率と容積比熱という2つの重要な指標があります。

・熱伝導率の意味

熱伝導率は熱の伝わりやすさを示す値です。この値が低いほど熱を通しにくく、断熱性能が高いことを意味します。カタログなどでよく目にするこの数値は、断熱材の基本的な性能を示す重要な指標です。

・容積比熱の重要性

あまり知られていませんが、容積比熱も重要な指標です。これは熱を蓄える能力を示す値で、特に夏の暑さ対策に重要な役割を果たします。

セルロースファイバーなど木質系の断熱材は熱を蓄える能力が高いため、夏場の暑さ対策に効果的です。

一方、発泡ウレタンなどは冬場、暖房をつけたときの反応が早いという特徴があります。

・季節による違いと家族の体質

断熱材の選択は、季節によって効果が異なることを考慮する必要があります。また、家族の体質や生活スタイルに合わせた選択も大切です。住まい手の快適性を最大化するためには、こうした要素も検討していくと良いでしょう。

(A.冬の快適性を重視する場合)
寒がりのご家族がいる場合や、冬の暖かさを重視する場合は、発泡ウレタンなど、暖房効果がすぐに感じられる断熱材が適しています。熱伝導率の低さを活かし、室内の暖かさをすぐに実感できます。

(B.夏の快適性を重視する場合)
暑がりのご家族がいる場合は、夏の涼しさを重視する場合は、熱容量の大きいウッドファイバーやセルロースファイバーが効果的です。これらの断熱材は屋外からの熱を蓄え、室内への熱の侵入を遅らせる効果があります。

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⭐︎施工精度の重要性

住まいの断熱性能を高めるには、断熱材自体の性能だけでなく、施工の精度も非常に重要な要素です。

性能を左右する施工品質

どんなに高性能な断熱材でも、施工が不十分だと効果が半減します。隙間なく施工することで、断熱効果を最大限に引き出すことができます。

気密処理との関係

特に発泡ウレタン以外の断熱材を使用する場合は、別途気密処理が必要になることが多いです。断熱と気密のバランスを考慮した施工が理想的です。


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⭐︎リフォームにおける断熱改修のポイント

リフォームで「家が寒い」という悩みを解決するためには、断熱改修が効果的です。既存住宅の断熱性能を向上させることで、住まいの快適性が大きく変わります。ここでは、リフォームにおける断熱改修のポイントをご紹介します。

・複合的なアプローチの重要性

断熱改修は一か所だけでなく、家全体のバランスを考えることが重要です。天井・壁・床・窓の断熱性能が総合的に体感温度に影響します。理想的には、これらすべての要素をバランスよく改修することで、最大の効果が得られます。

・予算に応じた優先順位

すべてを一度に改修することが難しい場合は、優先順位をつけて段階的に進めることも一つの方法です。一般的に、熱は上昇する性質があるため、予算に限りがある場合はまず天井断熱から検討するのがおすすめです。次に床、壁、窓の順に改修を検討すると良いでしょう。

・補助金の有効活用

断熱リフォームには様々な補助金制度があります。国や地方自治体が提供する省エネ改修に関する補助金を活用することで、経済的な負担を軽減しながら高性能な断熱改修が可能になります。これらの制度を上手に活用して、費用対効果の高い改修を目指しましょう。


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断熱と気密のバランス


近年、高断熱・高気密住宅が標準となる中で、断熱材の性能だけでなく、気密性との適切なバランスも重要になってきています。

断熱と気密は住まいの性能を左右する車の両輪のような関係にあり、どちらかが不十分だと効果が半減してしまいます。

・気密測定の意義

気密性を数値化する「C値」という指標があります。この値が低いほど気密性が高いことを示します。気密測定を行うことで、住宅の性能を客観的に評価できます。

・断熱材と気密性の関係

断熱材の種類によって気密性への寄与度は異なります。発泡ウレタンは断熱と気密を同時に確保できる特徴がありますが、グラスウールやセルロースファイバーでは別途気密シートを貼るなどの対策が必要です。

工法との関連性

建築工法によっても断熱・気密の特性は変わってきます。例えば、金物を多用する工法では、その接合部から熱橋(ヒートブリッジ)が生じやすくなります。

熱橋とは、建物の中で熱を伝えやすい部分のことです。

住宅の外部の暑さ・寒さを、室内に橋渡しして伝えてしまう存在になるため、熱橋(ヒートブリッジ)と呼ばれています。せっかく断熱材を使用しても、熱橋をつたって外部の熱が室内に入ってきてしまうと断熱性能が発揮されず、夏も冬も快適な室内空間を作り出すことはできません。

断熱計画は、建物の構造や工法と組み合わせて総合的に検討することが大切です。

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まとめ:コストと性能のバランス

今回は断熱材選びのポイントについてご紹介しました。家づくりやリフォームにおいては、断熱性能を追求するだけでなく、現実的なコストバランスも考慮することが重要です。断熱材の選択は、快適な住まいを実現するための重要な要素ですが、予算と相談しながら最適な選択をしていきましょう。

次回は、断熱等級の詳しい解説と、内海建設が取り組む断熱基準についてご紹介します。

家づくりやリフォームをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

内海建設では、お客様の暮らしに合わせた最適な断熱プランをご提案しています。

暑さ、寒さを我慢せずに快適で健康的な生活を送っていただけるようにお手伝いしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

文:LIXILリフォームショップ UTSUMI 店長・岡田



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