晴耕雨読

雨読 2021.01.09

『月まで三キロ』を読んで

みなさま、明けましておめでとうございます。
本年も「内海建設」ならびに「LIXILリフォームショップUTSUMI」をどうぞよろしくお願いいたします。

新年最初の投稿は「本の紹介」から始めたいと思います。

『月まで三キロ』を読んで

小説好きでなくとも、読み始めるとすっと入ってしまうそんな感じの、六つの話からなる短編集です。
登場人物は小学生から大人まで,人生に行き詰まったり、迷ったりの人たちが、ファンタジーだけどしっかり裏付けされた科学の世界に触れ、そこで何かを見つけ出し、もう一度前を向いてみようとする姿を描いた作品です。

短編集なので、気になるタイトルからでも読み始める事ができるし、長時間、本と向き合わなくてもいいので、フトンに入ってからでも十分ひとつのストーリーを完読できます。

それぞれの物語のタイトルが「エイリアンの食堂」・「アンモナイトの探し方」・「星六花」など、読む前はちょっと違和感を感じたタイトルでしたが、読んでみると「ああ、なるほど」でした。

最初のストーリー 「月まで三キロ」は静岡県西部が舞台になっています。静岡書店大賞を受賞したのもわかるような気がしました。

本当に「月まで三キロ」の場所があったのは驚きです。人生に疲れた男性が乗ったタクシー。

「月は1年に3.8センチづつ、地球から離れていってるんですよ・・・」

走行中に運転手が男性に語り掛けたこの言葉の意味が後半にかけて分かってきます。

自分も親父との距離はどうだったんだろうとか、いろいろ考えて胸がほんのりと熱くなりました。

「山を刻む」も変わったタイトルですが読んでみて意味がわかりました。

専業主婦をしてきた女性の決断の話です。

「その食卓の天板に、細かな傷が、それこそ無数にあることに気づいたのだ、三十年分の傷。・・・」

と、それぞれが勝手なふるまいの家族に心が折れ掛けていた主婦が小さな反乱を起こす物語です。

「そうだよな」としみじみ思ってしまいました。

本を買うときに、気にしてチェックするところが、本ならたいがい最後の方に記してある著者の経歴部分。
著者の「伊与原 新」は東京大学で「地球惑星科学」を専攻して博士課程を修了した人物。
これを見て、理系の人が書いた小説なんてどうなんだろう?と、

やや心配しながら読み始めた小説でしたが思い過ごしでした。

柔らかい感じの文体に科学が上手く絡めてあり、切ない感じだけど温かくも感じました。

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