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岡田 晴耕 2025.05.30
地震に強い家は「足元」から!プロが教える住宅基礎工事の秘訣
日本では常に地震への備えが欠かせません。
どんな家でも「基礎」があってこそ安全な住まいが実現します。
そこで今回は、先日当社のブログでご紹介した「有限会社赤堀建設」の赤堀正夫さんから伺ったお話を参考に、家づくりの要となる基礎工事について詳しく解説。地震に強い家づくりを考えている方、新築やリフォームをご検討中の方に役立つ情報をお届けします。
赤堀さんのスタッフ紹介ブログもぜひご参考ください。
⭐︎基礎工事の内容とその重要性⭐︎ーーーーーーーーーーー
基礎工事とは、住宅を地面の上に安定して支えるための土台を作る工事のことです。
家全体の重量を支え、地震や風などの外力から建物を守る重要な役割を担っています。
基礎は建物の「根っこ」とも言える部分で、一度施工すると後から修正することが非常に困難です。
また、基礎が完成すると地中に埋まってしまうため、普段は目に見えない部分でもあります。
だからこそ、高い技術と品質管理が求められる重要な工程なのです。
建物の中では一番土台となる部分であり、目に見えにくい部分でありながら、実は一番大事な部分といえるでしょう。

⭐︎基礎の種類と特徴⭐︎ーーーーーーーーーーー
住宅の基礎には主に以下の種類があります。
それぞれの特徴を理解し、適切な選択をすることが大切です。

【ベタ基礎】
現在の住宅で最も主流となっている基礎工法です。
床下全面にコンクリートを打設するため、耐震性に優れ、地盤からの湿気も防ぎやすい特徴があります。
①優れた耐震性
面で支える構造のため、地震の揺れを分散して受け止めることができます。地震国日本の住宅に適した基礎だといえるでしょう。
②高い気密性と断熱性
床下全体がコンクリートで覆われるため、地面からの湿気や冷気の侵入を防ぎ、住宅の気密性・断熱性の向上に貢献します。シロアリ対策としても効果的です。
③安定した支持力
建物の荷重を広い面積で支えるため、軟弱地盤でも比較的安定した支持力を確保できます。
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【布基礎】
かつての住宅で一般的だった基礎工法で、建物を支える壁の下だけにコンクリートの基礎を設ける方式です。
①通気性の確保
床下が開放されているため、通気性が確保しやすく、湿気対策として床下換気が容易です。
②コスト面での利点
ベタ基礎に比べてコンクリートの使用量が少なく、工事費を抑えられる利点があります。
③適用条件
現在では主に小規模な増築や、地盤条件が良好な場合に採用されることが多くなっています。内海建設では、新築住宅はベタ基礎を標準としています。
現在では主に小規模な増築や、地盤条件が良好な場合に採用されることが多くなっています。
内海建設では、新築住宅はベタ基礎を標準としています。
⭐︎基礎工事の流れと期間⭐︎ーーーーーーーーーーー
一般的な住宅の基礎工事は、地鎮祭が終わった後から始まり、完成までには約1ヶ月かかります。
主な工程は以下の通りです。
①地盤調査と対策
まず地盤の状態を調査し、必要に応じて地盤改良や杭打ちなどの対策を行います。
②基礎の配筋工事
鉄筋を組み、基礎の骨組みをつくります。この鉄筋は基礎の強度を決める重要な要素です。
③コンクリート打設
鉄筋の周りにコンクリートを流し込みます。コンクリートの品質管理も重要なポイントです。
④養生期間
コンクリートが十分な強度を得るまで、約4週間の養生期間を設けます。この間にコンクリートは徐々に硬化し、強度が増していきます。
一般的な住宅の基礎工事は、養生期間も含めて約1ヶ月程度かかります。基礎工事は家づくりの第一歩であり、この工程がしっかりしていることで、その後の建築工事がスムーズに進みます。

⭐︎地震に強い基礎とは⭐︎ーーーーーーーーーーー
日本は地震大国であり、住宅の安全性を考える上で耐震性は最も重要な要素の一つです。
基礎は地震の揺れを最初に受け止める部分であり、その性能が家全体の耐震性に大きく影響します。
【基礎の耐震性を高めるポイント】
①鉄筋量と配置
基礎の強度を決める重要な要素が鉄筋です。基礎にひび割れが発生する主な原因の一つは鉄筋不足といわれています。適切な量と配置の鉄筋を使用することで、基礎の強度が大幅に向上します。
②コンクリートの品質
コンクリートの強度や耐久性も重要です。現在は品質証明が徹底されており、使用するコンクリートには配合報告書が付き、どのような配合で作られたかが明確に記録されています。
③基礎の高さ
基礎の高さは耐震性だけでなく、将来の土地の状況変化にも対応するために重要です。基礎をある程度高くしておくことで、周辺地盤の変化にも対応できます。低すぎる基礎は後から対応が困難になるため、やや高めに設定するのが望ましいとされています。
⭐︎基礎のひび割れとその対処法⭐︎ーーーーーーーーーーー
コンクリート基礎に発生するひび割れには様々な種類があり、その全てが深刻な問題というわけではありません。ここでは、基礎のひび割れについて正しい知識をご紹介します。

【ひび割れの種類】
①ヘアクラック
髪の毛ほどの細いひび割れで、コンクリートの乾燥過程で自然に発生するものです。このような細いひび割れはほとんどのコンクリート基礎に見られる現象で、構造上の問題はなく、心配する必要はありません。
②構造的なひび割れ
徐々に幅が広がっていくひび割れは要注意です。最初は髪の毛ほどの細さでも、次第に爪楊枝やマッチ棒が入るほどの幅になってくるようであれば、それは構造的な問題がある可能性が高いです。このような場合は専門家に相談することをお勧めします。
【ひび割れの原因】
基礎に深刻なひび割れが発生する主な原因は以下の通りです。
①地盤の問題
地盤が不均等に沈下することでひび割れが発生します。特に片側だけが傾いてくるような場合に起こりやすい現象です。
②鉄筋の不足
適切な量と配置の鉄筋がないと、コンクリートの強度が不足し、ひび割れの原因となります。現在は配筋検査が厳格化され、このような問題は減少しています。
③コンクリートの品質不良
かつては施工不良によるコンクリートの品質問題もありましたが、現在は品質管理が徹底されています。
⭐︎最近の基礎工事の傾向⭐︎ーーーーーーーーーーー
住宅の基礎工事は、技術の進化や制度の変更によって年々変化しています。現在の基礎工事の特徴として、以下のような点が挙げられます。

【検査・品質管理の厳格化】
近年は第三者機関による検査が一般化し、基礎工事の品質が担保されるようになりました。配筋検査やコンクリート品質の証明など、様々な段階で品質管理が行われています。公的検査の導入により、以前よりも高い品質基準が確保されています。
【地盤調査の重要性】
かつては地盤調査が十分に行われず、その場所の地盤をそのまま信用して建築することも珍しくありませんでした。しかし現在は、建築前の地盤調査が標準となり、必要に応じて地盤改良や杭打ちなどの対策が取られます。これにより、地盤に起因する問題が大幅に減少しています。
【ベタ基礎の主流化】
耐震性能の向上や湿気対策の観点から、現在の新築住宅ではベタ基礎が標準となっています。内海建設でも新築住宅にはベタ基礎を採用するケースがほとんどです。
まとめ:家の安全を支える基礎工事⭐︎ーーーーーーーーーーー
基礎は家の「根っこ」とも言える部分であり、その品質は家全体の安全性と耐久性を左右します。特に地震の多い日本では、しっかりとした基礎があってこそ、安心して暮らせる住まいが実現します。
内海建設では、長年の経験と技術を持つ信頼できる協力業者と共に、地震に強く安心して暮らせる家づくりに取り組んでいます。新築やリフォームをご検討の際は、基礎の重要性をぜひご理解いただき、長く安心して暮らせる住まいづくりにお役立てください。
文:LIXILリフォームショップ UTSUMI 店長・岡田