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社長 晴耕 2022.04.01

解体・リフォーム工事に伴うアスベスト(石綿)の規制強化のお知らせ

みなさまこんにちは。内海建設です。

令和4年4月1日から、建物の解体やリフォームなどを行う前に実施しているアスベスト(石綿)に関わる規制が厳しくなります。

皆さんが家を建て替えたり、リフォームをしたりするときにも関係する内容ですので、わかりやすくご説明します。

<目次>
①アスベスト(石綿)とは
②アスベストはどのように害を及ぼすのか?
③アスベストが人に及ぼす健康被害とは?
④アスベストを含む製品の取り扱いについて
⑤当社のアスベストに対する体制

①アスベスト(石綿)とは
アスベスト(石綿)は天然の鉱物繊維で、石綿は「せきめん」あるいは「いしわた」と読みます。
以下、このブログの本文中では、「アスベスト」という名称に表記を統一します。

アスベストの繊維は極めて細く、熱や摩擦、酸・アルカリにも強いうえに、丈夫で変化しにくいことから、さまざまな工業製品に使われてきました。主な製品としては、以下のようなものがあります。

建材(吹き付け材、保温・断熱材、スレート材、サイディング、クッションフロアなど)
摩擦材(自動車のブレーキライニングやブレーキパッドなど)
シール断熱材(石綿紡織品、ガスケットなど)

例えば、昔の土壁には土がバラバラにならないように藁などの「つなぎ」が入っていますが、アスベストも「つなぎ」と同様の役目を果たす素材として、住宅建材においてはサイディングやカラーベスト、クッションフロアなどに用いられてきました。

今でも時々見かけることがありますが、駐車場の天井がモコモコとした綿菓子状になっていたら、それがアスベストです。最近では、中国産の珪藻土バスマットに石綿が含まれていたことがわかり、問題になったのが記憶に新しいところです。

②アスベストはどのように害を及ぼすのか?
アスベストはいろいろな製品に用いられてきましたが、肺がんや中皮腫を発症する発がん性があることが問題となり、2006年以降は、原則として製造・使用等が禁止されるようになりました。

ただし、アスベストを含有する製品が使われているというだけで問題が生じる訳ではありません。
その製品が破損してアスベストが飛び散り、人の体の中に吸い込まれることによって問題が生じます。

例えば、前述した駐車場の天井のように、吹きつけアスベストが露出している場合、劣化などによってその繊維が飛散するおそれがありますが、板状に固めたスレートボードや天井裏・壁の内部にある吹付けアスベストの場合は、通常の使用状態であれば室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。

つまり、アスベストは製品に練り込まれている状態では害を及ぼしませんが、建物の解体工事やリフォーム工事などによってその材が破壊されたり、粉砕されたりすることで空気中に飛散し、それが体に害を及ぼすのです。

アスベストが飛散すると、コロナのウイルスと同じ大きさで空中を浮遊します。
ですから、呼吸することで容易に体の中に取り込まれます。
コロナウイルスは空中にあっても2、3日で死滅しますが、アスベストは生物ではないので、いつまでも存在します。

ニュースや新聞などでは、建設作業などの従事者がアスベストの被害を受けたケースがよく取り上げられますが、実際には誰にでも悪影響を及ぼしかねません。
そのため、さまざまな法律で予防や飛散防止対策などが徹底されてきました。

③アスベストが人に及ぼす健康被害とは?
アスベストの繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることがWHOに報告されています。

アスベストによる健康被害は、長い年月を経て表に現れます。
潜伏期間は15~20年ともいわれ、中皮腫の場合は平均35年前後という長い潜伏期間を経て発病する場合が多いとされています。そのため、 「静かなる時限爆弾」ともいわれています。

アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、 肺細胞に取り込まれたアスベスト繊維による物理的な刺激が主な原因だとみなされています。
また、喫煙と深い関係にあることも知られています。

アスベストを吸い込んだ量と、中皮腫や肺がんなどの発病との間には相関関係が認められていますが、短期間における低濃度のばく露についての発がんの危険性については 不明な点が多いのが現状です。

そのほか、アスベストが人体に及ぼす被害や、被害を受けた後の対処法については、厚生労働省ホームページをご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/topics/tp050729-1.html

④アスベストを含む製品の取り扱いについて
日本では1970年~1990年にかけてアスベストが大量に輸入されていました。
しかも、輸入されたアスベストの9割以上が建築分野で使用されていたため、当時建てられた建物にはアスベストが含まれている可能性があります。

アスベストを含む建物は280万棟と推計され、建物の解体や改修でアスベストが飛散する可能性があります。
しかも今後は、2030年をピークに建物の老朽化による解体や改修工事が増える見通しです。そのため、アスベストの専門知識をもつ有資格者が事前にアスベストを調査し、健康被害を徹底的に防ぐ必要があるのです。

アスベストを含む製品を製造・加工する作業や、アスベストが使用されている建築物の解体等の作業は、これまでも法律によって規制されてきましたが、上記のような理由から、令和4年4月1日以降はさらに規制が厳格化されました。

これまでも、解体・改修工事の際には、アスベスト含有建材の調査が必要でしたが、今後は、その調査結果を都道府県等に報告する必要があります。

報告対象となるのは、以下の工事です。
<建築物の場合>
・解体作業の対象となる床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事
・請負代金の合計額(消費税込み)が100万円以上の改造・補修工事

上記に該当しない工事でも、 建築物等の解体・改修時には、事前調査の実施や調査結果の保存などが必要となります。

【当社のアスベストに対する体制】
前述のように、例えば家の建て替えやリフォームを行う際に古い建物や壁などを解体する場合には、専門的な知識を持った人がアスベストの含有調査を行い、工事を監督または従事しなければなりません。

新築工事やリフォーム工事を生業とする当社においても、もちろんアスベスト対策は必須業務であり、代表取締役の私以外にLIXILリフォームショップUTSUMIの店長・岡田もアスベスト規制関連の資格を保持しています。

上記に加え、2023年10月1日以降は「建築物石綿含有建材調査者」の事前調査が義務付けられます。

「建築物石綿含有建材調査者」とは、解体や改修する建物や構造物におけるアスベストの有無を、中立かつ公正に調査する有資格者のことです。

資格を取得するには、厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号に基づく講習を受講し、さらに修了考査に合格する必要があります。

そのため、私たちも現在講習に参加中で、近々「建築物石綿含有建材調査者」の資格を取得する予定です。

今後は、私たちのような建築工事に携わる人間だけでなく、一般の方々もアスベストに関する知識を深める必要があり、国や市町から情報が発信される機会も増えていくことと思います。

アスベストは、私たちの身の回りに意外と多く存在し、対処法を誤るとご家族の健康に害を及ぼす物質なので、正しい情報を身につけておきましょう。

ご参考に、環境省からのお知らせもご覧ください。
https://www.env.go.jp/air/air/osen/R1-Main16.pdf

文:内海建設 代表取締役・内海 明

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